体操ザムライ 11話「体操ザムライ」感想 完結!
圧倒的な終わり方だった。
本当に素晴らしい作品だった。
冒頭のレオへの説得に手応えを感じない玲ちゃんと、子供だからこそ単純な心理をなんの呵責もなく言っちゃうシーンは笑ってしまった。
そして、結果的に車を追い出されてしまうカズくん。
大人な玲ちゃんと子供なカズくんが互いに補い合うような形で描かれているのが良かった。
素直に気持ちを言葉にできないクソガキだと思ってたけど、ちゃんとコミュニケーションが取れるとイイ奴なんだなお前。
玲ちゃんとレオを引き合わせるために必死に時間稼ぎをする、ボディーガードさんで笑ってしまった。
あれで時間を稼ごうとするのは無理があるだろ!
玲ちゃんのレオへの説得は母から受け継いだ映画の名台詞で勝負!
女優になりたいと言う決意を固めたからこそ、大勢の知らない人の前で大見えを切ることができたのだろうと思うと目から涙が出てしまう。
「大奥 VS くノ一」の映画の中でも仲間を奮い立たせるために放ったセリフを自分のものとして引用する玲ちゃんは本当に格好良かった。
空港から試合に間に合うかで、急にMIB(メン・イン・ブラック)みたいな謎ボタンで急加速する車でめちゃくちゃ笑ってしまった。
急にリアリティラインがぶっ壊れるのおもしろすげるんだよな。
そして、カメラはようやく全日本選手権へ戻る。
城太郎への憧れを捨て、ライバルとして向き合う鉄男がいい。
城太郎も好調を維持しているが、足首に不安が残る描写が本当に怖い。
そして、なんやかんやで3位につけているタッキー!
多分、あの世界だと城太郎の影に隠れちゃってるけどめちゃくちゃダークホースとして体操界隈はザワついてるだろうな……
最終種目の鉄棒は鉄男の離れ技4連続の演技が普通にすごくて声出してしまった。
あれを現実でやる人間がいるのだと思うと本当にビビるな……
城太郎はレオの到着を確認して「燃える」
この「燃える」描写の後の「天草さん?」のセリフが全く気負った感じがないのが城太郎らしくていい。
いつも以上に燃えていることに本人すら気付いていない鈍感ぶりはさすがだ。
アニメで描写されていた「燃える」状態は奥さんが交通事故にあったと聞いた時以来になる。
あの時は大切な家族が死ぬかもしれないという中での、自分には体操しかないという悲痛な思いで追い込まれたからこその「燃える」だったが
今回は大切な家族の背中を押してやりたいという思いからの「燃える」描写が熱い。
口下手で鈍感で他人に何かを伝えることが下手くそな男が唯一自信を持って挑めるのが体操という伝達手段なのはこの10話でしっかりと描写されてきたし、それを本人も分かっているからこそ体操を手放すことができない。
そして始まる最終演目「鉄棒」だが、本当に凄かった。アニメという筋書きのあるドラマであってもこんなに驚くことはないだろうと言うくらい驚いた。
伸身のアラガキ
あれだけ、丁寧に練習描写を積み重ねてきたこのアニメで急に知らない技が出てくるのだから驚く。天草コーチも驚く。
でも納得できる。城太郎という男ならやってもおかしくない。
この10話でそう感じさせてくれたこのアニメの勝利だ。
世界選手権の時は掴めなかった鉄棒をもう一度掴み取ったあのカタルシス。
こんな思いを味わえるとは思っていなかった。
最終的に城太郎は鉄男に勝利し、鉄男が静かに涙を流す。
ここも、鉄男の静かな闘志を感じられる素晴らしシーンだった。
ラストは2年後の急に大人びた玲ちゃんたち荒垣一家がレオの復活公演を鑑賞する。
「きっとわかっている」そう信じ切っていう玲ちゃんがあまりにも清々しくて良かった。
どれだけ失敗しても一緒に立ち上がってくれる人たちがいる。
それは近くにいると当たり前に感じてしまうけれど、特別で大事なことなんだと改めて感じさせてくれる素晴らしいアニメでした。
最高でした!ありがとう!