あなたにこれをススメたい

アニメやラノベの感想とたまに備忘録

履修後 劇場版レビュースタァライト感想 約束のその先へ

f:id:kimuchang:20210705001842j:plain


1週間でTV版と総集編映画の「ロンド・ロンド・ロンド」を履修しての2回目の「劇場版レビュースタァライト」もめちゃくちゃ面白かった!

特に最後の愛城華恋のレビューがめちゃくちゃわかりいな理解できて凄く熱かった。
というか、この劇場版で描かれている華恋の過去がほほとんどオリジナルなことに改めてびっくりした。

この劇場版が約束のその先へ歩みを進める話なのでひかりが関わってない、華恋だけが持つ過去の話をするのはそりゃそうだろうといえばそうだが、初見のときは「TV版の復習をずいぶん入れてるんだろうな〜」と勝手に思っていたので本当に驚いた。

TV版の時の不満点として華恋が勝つ理由が「ひかりとの約束」に全振りなのが納得いかない。というのがあったのだけどそれに対するアンサーとして華恋が積み上げてきたものがて提示させされたうえ上での東京タワーを(約束)をぶっ壊す再生産のシーンは凄くグッときた。

初見の時は急に死んで、再生産される華恋に「?」という感じだったのだけど、ひかりとのスタァライトを終えたという前提を理解したことですごく意味の通る場面になった。
というか、初見の人に必要な唯一の前知識は「華恋とひかりは約束した運命のステージを終えている」という1点だと思う。初見の時は結局2人はステージを行っていないのか?とまで考えたので。

そして、ラストは東京タワーが折れてポジション・ゼロへと突き刺さって華恋の約束をめぐる物語を終えたということなのだろうけど、これも初見では全くわからない要素だった。
そもそも、劇場版ではポジション・ゼロがちゃんと説明されないので初見の時は「このT字なんだ?」という感じだった。

TV版ではイマイチ好きになれなかった愛城華恋をちゃんと好きになれた、素晴らしいレビューと過去編だった。

 

今回の履修後でやっぱり素晴らしかったのは天堂真矢と西條クロディーヌのレビューだ。

これは初見の時もNo.1とNo.2のぶつかり合いとして熱く、美しい闘いでめちゃくちゃ良かったのだが、TV版で「天堂真矢は負けてない」を見ているとより一層グッとくるレビューだった。

クロディーヌと真矢の「あなた今とっても可愛いわ」「私はいつだって可愛い」のやりとりが真矢がクロディーヌの泣き顔を可愛いと言った時の意趣返しというのもわかって良かった。

TV版では実現しなかった幻のレビューがこうして劇場版の素晴らしい作画と演出で楽しめるなんて、TV版からリアルタイムで追っていた人たちも報われているだろう。

ただ、天堂真矢が動物将棋が弱いというのが何のための描写だったのかがわからなかった。

その場かぎりで燃え尽きるタイプなので、中・長期的な戦略が立てられないとかそういう話なのだろうか。

 

全くわからなかった要素としては第101回聖翔祭の大決起集会で雨宮が未完の脚本を披露するシーンがある。

初見の時はてっきりこの聖翔祭を巡って何か物語が巻き起こるのかと思っていたら、聖翔祭自体はレビューと一切関係ないという展開にめちゃくちゃ驚いた。

レビューとは一見全く関係のないけれど、かなり印象的なこの未完の脚本のシーンはこじつけるならこの劇場版自体のメタファーなのだろうか。

未完の脚本ゆえに物語の結末はまだないけれど、A組の役者たちは「このセリフが言いたい」と次々にその場で演技を始める。

これは物語が完結しなくても、印象的なセリフなどがあれば物語として存在する価値があるということなのではないか。
この劇場版もおよそ物語といえるものはなく、キャラクターたちが己の本音をぶつけ合うためだけにレビューが開かれる。
TV版ではレビューはあくまでもオーディションのために行われていた。しかし、劇場版のレビューは観客たち(劇場版を待っていた映画館に来ている人々)のためだけに開かれた断片的なレビューの集まりにせざるを得なかった。
そのことを未完の脚本で表現したのではないかと言えなくもないかと考えるが、ちょっと自分でもすんなり飲み込める解釈ではないので他の人の感想も見てみたい。

 

TV版で描ききれなかったキャラ同士のぶつかり合いをあえて物語の文脈に載せずに、観客に応えるという体でレビューの決着そのものが意味を持ちすぎないようにした大胆な映画だったがそれゆえに初見でもエモーショナルなセリフの応酬と美しい作画と演出で楽しめるし、TV版から追ってきた人間は実現しなかったキャラ同士のレビューに心踊らせることができる素晴らしいものになっていた。

 

「映像」という総合芸術だからこその強みを生かしまくった最高の映像でした!