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劇場版SHIROBAKO 感想:夢を忘るること勿れ

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約5年ぶりの新作で、どうなることかと期待半分不安半分という感じだったが面白かった!

TV版の視聴者が見たかったキャラクターたちのその後。

そして、「SHIROBAKO」らしい思った以上にちゃんと描かれちゃう「リアル」に「夢」で立ち向かうストーリーが119分の中に詰め込まれていて素晴らしかった。

 

1.キャラクターたちのその後

冒頭は最終話を思い出させるようなイニDばりの公道レースを見せるのかと思いきや、ポンコツの車でスタートダッシュを切れないというなんとも不安を予感させるようなシーンから物語が始まる。

その後映し出されるのは、会社で寝泊まりする宮森、「タイマス事変」により社員がほとんどいなくなってしまったムサニ。

なぜか同居している久乃木と絵麻、写真集は出しているけどアニメで大ヒットはしていないずかちゃん、オリジナルアニメをやったりと意外に順調なディーゼルちゃんことみどり、後輩の扱いに悩む美沙とメインの五人は現状維持か下降気味という夢がない展開がちょっと笑ってしまった。

特に宮森の部屋の汚さが一切、男の影を感じさせないので笑うしかなかった。

とりあえず、出来るだけキャラクターを出すぞという気概が感じられて、仲がいい高梨と平岡、ジャージ姿を披露したゴスロリ様こと小笠原さん、落ちぶれからの復活にプラスして同期・先輩からの励ましと奥さんとのイチャつきを見せ第2の主人公とも言えそうな活躍を見せた遠藤さんなど、TV版のキャラクター勢揃いだった。

 

2.ミュージカルと妄想補完

今回の劇場版でなんといっても記憶に残るのがミュージカルと山場の一つである極妻シーンだろう。

「アニメーションを作りましょう」に関してはちょっと長くないか?と思ったけどいろんな劇中劇のキャラが出てきて面白かった。

なめろうマーチ」に関してはそのものよりも、その前子供達のリアクションである「絵が動くわけねぇだろ」というセリフと絵が動いた時の「騙されるな!」というセリフがめちゃくちゃ面白かった。

そして、宮森と新キャラ宮井の「みゃーみゃーコンビ」で敵陣に乗り込むシーンはアクション的にも面白い動きをしまくっていて素晴らしかった。

ラストのSIVAの追加シーンが良すぎたのでなんとなく記憶が薄れているのだが、着物の女子が動きまくるのはカッコ良くて印象深いシーンだった。

 

3.人生は「俺たたエンド」

この作品のテーマはめちゃくちゃ分かりやすくてストレートだ。

「腐らずに頑張ろう」色々な言い回しがあったがまとめるとこうなると思う。

SIVAを作る前の宮森は腐っているとは言わないまでも、ただ仕事をするだけの機械になっていた。

それは別に宮森が悪いと糾弾されるようなことではなくてムサニが沈んでしまった以上しょうがないことだった。

でも、その「しょうがない」に流されるなよ!というのが今回の映画のいたるところで描写されていた。

それはSIVAに仕事を受ける時の宮森、再起する遠藤、声優としての仕事を受けるため事務所と話し合ったずかちゃん、ボロボロになって弟子にまで教えを請う舞茸さん、みんなみっともなくあがいてでも良い仕事をしようと頑張っている。

そして、3週間前から追加される最後の追加シーン。ここの動きがめちゃくちゃすごくてユニークだしかっこいい!

このシーンを作る過程の苦労は作品内では一切描かれない。

でも、アニメを作る大変さを少しでも知っている人なら、SHIROBAKOの劇場版を観に来るような人ならこんだけ動き回るバトルシーンを追加することがどれだけ大変なことかわかってくれるだろう。という思いが伝わってくる素晴らしい幕切れでした。

ロロのセリフに「人生は『俺たたエンド』だよ」というのがあった。

ハッピーエンドでもバットエンドでも「俺たちの戦いはこれからだ!」と言って次への歩みを進める。それが長い人生で生きていくための考え方のコツなんだって当たり前だけど忘れてしまってたな、と自分の社会人としてのあり方を考えさせられてしまいました。

 

さぁ〇〇を作りましょう!と心の中で歌いながら、自分の仕事やら夢やらに一歩踏み出すか
そんな思いを起こさせてくれる素敵な作品でした