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アニメやラノベの感想とたまに備忘録

「天気の子」感想 (ネタバレあり)

※ネタバレありです

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神アニメだった

 

正直「君の名は」にあんまりピンときてなかったタイプのオタクなので、そんなに期待せずに観に行ったのだけど終盤の展開の濃厚すぎる中二病にただ唖然とするしかなかった。

 

「君の名は」は非常に細かい伏線回収が恋愛模様に対して興味のない人間にも楽しんで見れる要素であったので、今回の作品も序盤に出てくる銃器の強盗事件のニュースのくだりで主人公がなんかしらの犯罪に巻き込まれていくのかな?なんて予想をしていたが、主人公に銃を持たせる理由でしかなくて、ラストの警察とのシーンで銃つかいたかったんだな~というのが伝わってきてとても最高だった。

 

脇キャラも最高で小栗旬の存在感ある胡乱なおじさんや、散々ネタにされてたけど悪くはなかった(だが良くもない)本田翼の夏美お姉さん。そして、間違いなく今回のベストバイプレイヤー賞を受賞する凪先輩など記憶に残るシーンが多々あった。

倍賞千恵子ボイスによりとんでもない説得力を持ったおばあちゃんも凄かった。倍賞千恵子さんの声は言ってること全てに含蓄がある気がして、もはや卑怯だな。

梶くんボイスのリーゼント警官は「竹達との結婚直後にヘイトが溜まりそうな役をやって大丈夫かな?」と無駄に心配してしまった。

 

そんな魅力的な脇役に全く喰われずに己の物語を全力で見せつけてくれた主人公2人組がやっぱり良かった。

陽菜ちゃんは健気な少女として「そりゃ、帆高くんも頑張っちゃうよな」と納得感しかくれない最高の美少女だった。

そして、我らが主人公の帆高くんは若干ショタっぽい雰囲気からは想像もできない中二病力を発揮してくれた!

特に陽菜が消えてからの警察からの脱走、線路走り、銃を向ける一連の流れは「世界よりも、自分よりも、惚れた女の子の方が大事に決まってんだろ!」という気迫が画面から伝わってきて本当に良かった。

このポリティカルコレクトネスとかいうお行儀のいい創作物を作りましょうという風潮がどんどん強まる中で、日本のアニメ界を任されてしまったと言っても過言ではない新海誠が送り出したのが「社会的な正義より愛の方が重いに決まってるだろ!」というような作品なのがロックだし、1人のオタクとしてありがとうとしか言えなかった。

 

あの一連の流れだけでも中二病としてお腹いっぱいなのだが、ラストに「東京は元の姿を取り戻しているだけだ」と言ったおばあちゃんや「世界は最初から狂ってたんだ」と遠回しに主人公達には責任がないんだよという大人達の優しい言葉によるフォローがあった。しかし、帆高は「世界の形を変えてしまった」と大人達の優しい言葉には甘えずに東京の水没は自分の選択の結果としつつそれでも、陽菜を助けたことに何の後悔もない的なことを言い出したのが本当に最高だった。

 

この一連の流れで思い出した作品が「劇場版 AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~」である。

この作品は中二病(この作品が出た当時は中二病という言葉が無かったため、劇中では「ドリームソルジャー」と呼ばれている)のヒロインが実生活でおいても自分の設定を貫くために、主人公が振り回されるというストーリーであるのだが、ラストのオチがヒロインの中二病をクラスの陽キャがネタにすることでヒロインにも居場所ができて主人公とともに「普通」の学生へとなることを決意するというものであった。

当時リアル中学生だった自分にはこのオチがどうしても受け入れられなくて受験勉強そっちのけで悶々としていた記憶がある。

なんで、クラスの陽キャみたいな『世間』に取り込まれちまうんだよ!アニメでぐらい世間をぶっちぎれ!

AURAを見た自分の感想は上記のようなものだったが、「天気の子」はこんな気持ちをアニメ作品として自分史上初めて救ってくれた作品になってくれた。

 

こういう、少女と世界どちらかを選べ!みたいな作品は世界を選んで少女と別れて少年は大人になる。みたいな筋書きの作品が多いし、どちらにしてもハッピーエンドとして描かれることは少ない気がするのだが、この作品は電車の代わりに船で移動する人々や、何よりラストの再開のシーンなど非常にポジティブな描写で100%のハッピーエンドとして描いてくれているのが本当に素晴らしかった。

 

「世界よりも彼女が大事」そんな今のご時世に多くの人が恥ずかしさや、あまりの荒唐無稽さに口にするのをためらうメッセージを超売れっ子となったのに発信してくれた新海誠には頭が上がりません。

2回、3回と観に行きたいと思います。